深夜二時 鴨居の上の障子戸が開いていたので覗き込むと向こう側の箪笥の上に薄桃色の丸い陶器がいくつか並べられている。どこからともない薄明かりの中で暫く見惚れているとさらに奥の部屋から人の声がはっきりと聴こえた。こんな夜中に怖いと思うと同時に肌寒くなったのでタオルケットに包まった。
posted at 08:10:10
まだあの声が耳に脳に残ったまま思ったこと。鴨居の上をどうやってあんなに容易に覗けたんだろう?声が怖くて逆を向いていたけれどそっとそちらを見た。私はタオルケットには全く包まってなくて天井近くの障子戸も閉まっていた。境い目のない体験。
posted at 08:10:45
[ 原文 ]
夜になると森本の夏祭り 橋桁の隙間から見える大きな月を撮ってたら港にエレクトリカルパレードみたいな船が入ってきた 屋台村へ一瞬行ってる間に鍵をかけずに置いてた自転車を盗まれる 中学以来に会ったKに犯人らしき人のことを英語名と蜂の絵が描かれたメモを差し出されながら教えられる
しきりにジェラルドが、ジェラルドが、と
ジェラルドが第一発見者で犯人の名前を叫びながら追い掛けたらしい なぜ彼が犯人の名前を知ってるのか少し疑問に思ったが犯人は有名であるそしてKや周りに居た高校時代の知り合いもジェラルドの名前を口にしていたのでジェラルドもこんな田舎でも有名なんだなと思った
アーティスト名じゃなくて本名で呼ばれてるのかと思いつつ自転車のペダルに足をのせた瞬間 全ては作り話だと気づく自転車は盗まれていない ジェラルドは今バルセロナにいる むしろこんな田舎の小さな祭に来る訳がない……
ともあれ買ったばかりの白い自転車が無事であることに安堵してKとアドレスなどを手書きのメモで交換する その様子を動画で収める男 実はここまでが罠であってさらに私は逃げる身となる ひたすら空を翔ぶ 高く翔ぶほど速くなる 樹木に鉄塔に雲に気をつけて
深夜辿り着いた自宅前で屋台村で買った串焼きを食べた レバーとタレの味が口いっぱいに広がりどうしようもない虚脱感孤独感 そしてここにいることを後悔し続けた バルセロナの15時半のことを気にかけながら
posted at 15:49:14
[ 訳 ]
うちより北、田舎のヤマアイの御祭りの話。大きな月が海に沈もうとしている時に夜のネオン色エレクトリカルパレード船が港に到着。京都で盗まれた後に買った白い自転車が屋台村で盗まれたという幻はじぇらるどの名前を巧妙に使ったKたちによるメモ芝居。樹木に鉄塔に雲に気を付けて翔び深夜の自宅へ。
posted at 16:46:35
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