2012.06.03
10階建ての古びた温泉旅館。各階ごと趣の異なる温泉でなりたっていて、まさに温泉ビルだった。
この日歴史的な巨大月がみられるようで、ふと空を見上げると空全体が月だった。地下道にはどこからかとても強い風が吹き込んでいた。月の大きい日は東西を吹き抜ける風に身を任せることがしきたりとなっていて、通勤中のサラリーマンも買い物袋を提げた主婦も杖をついたおじいさんもランドセルをしょった小学生もスカートの短い女子高生もみなその東西の風に乗って移動していた。白い仮面の人も幾人がいた。
私は住み込みで地下の家に暮らしていた。ご主人様は妻帯者であり、妻を愛していた。とても仲の良い夫婦だった。ある日私はご主人様にプロポーズをされる。奥様も喜んでいた。わたしも喜んだ。地下での幸せな日々。
内容も思い出せないほどの恐怖、あきらかな自分の悲鳴で目がさめる。
悲鳴がまだ壁に反射して余韻を残していた。
posted at 03:00
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